水替えは水槽を管理する上で最も重要な要項になります。水替えが必要な理由を知らない方にとっては「水槽内の水が濁ってきたら水替えを行う」と少し勘違いをしている方も多いかもしれません。
確かに水槽の水が濁ると鑑賞にも影響が出てくるため、先ほどのような考えが的外れなことを言っているという訳ではありませんが、水替えは魚にとって“有害な物質”を除去するために行うものです。
この記事では、水槽の水替えをする理由や理想的な水替えの頻度について解説していきます。
水替えが必要な理由は主に二つ
有害物質を除去するため
冒頭でも話したように、水替えを行う本来の目的は“有害物質を除去”することです。有害物質と聞くと見るからに水に異常(濁り)があったり、人工的な物で汚れていると想像する方も多いと思います。
しかし、実際に水槽内に発生する有害物質の多くは人間の目では見ることができないため、定期的に水替えを行い除去しなくてはいけません。代表的な有害物質としては「アンモニア」があります。
アンモニアは主に魚の排泄物から発生します。水槽内から除去せずに放置していると体調を崩してしまうだけでなく、場合によっては病気になってしまうこともあるくらい毒性が強い物質です。
バクテリアの力を使いアンモニアを除去
先程はアンモニアを除去するために水替えが必要と説明しましたが、発生するアンモニアを人間の力のみで全て除去し続けるのは不可能に近いため、バクテリア(微生物)の力を借りる必要があります。
バクテリアはアンモニアを「亜硝酸塩」という毒性の弱い物質に分解することができ、亜硝酸塩は「硝酸塩」に分解されますが、硝酸塩はバクテリアにも分解することができない物質です。
硝酸塩が蓄積されると水質(PH)が酸性に傾いていきます。基本的に魚は中性前後の水を好む(魚種による)ため、水槽内にアンモニアが存在しなくても結局は定期的に水替えを行わなくてはいけません。
見た目を綺麗にするため
我々人間から見ると濁った水は汚い水と認識されてしまいますが、濁った水であっても魚にとっては過ごしやすい水である場合もあります(必ずしも濁った水 = 魚に有害な水という訳ではない)。
しかし、魚を飼育する目的の一つとして「鑑賞」があります。鑑賞するために魚を飼っているのに水が濁っていて鑑賞できないのでは意味がないため、こういった場合も水替えを行う必要があります。
理想的な水替えの頻度と換水する水量の目安は?
理想的な水替えの頻度は「二週間に1回!」換水量は「水槽の三分の一!」等の沢山の意見がありますが、適切な水替えの頻度と換水量は環境(有害物質の量とバクテリアの量)によって変化します。
大型水槽で小型魚を少数だけ飼育している場合は月に1回水替えを行えば十分ですが、大型魚を過密飼育している場合は糞から沢山の有害物質が発生するため、水替えの頻度を高める必要があります。
また、水槽を立ち上げて間もない時期やリセット直後は水槽内にバクテリアが殆ど存在しないため、水替えを行う頻度と換水する水量を増やし、物理的に有害物質を除去してあげなくてはいけません。
逆に水槽を立ち上げてから数ヶ月経過しており水質が安定している水槽の場合は水替えの頻度を落とし、換水する水量を水槽の三分の一以下(換水量でPHを調節する)にしても問題ありません。
リセット(水の全交換)は最終手段
水槽の水を全て交換すれば水槽内に存在する有害物質(アンモニア)を全て除去することができますが、有害物質を分解して無害化してくれる優良な存在であるバクテリアも居なくなってしまいます。
そのため、水槽の水を全て交換する行為は出来る限り控えたほうが賢明です。しかし、水質に大きな問題(水が濁りすぎている)がある場合はリスクを承知でリセットしてしまうしかありません。
水槽の水替えをする理由【まとめ】
どのような水でも水質を検査するまでは綺麗な水なのか、汚い水なのかは人間には判断できません。
いくら透明度の高い人間にとって綺麗に見える水であっても実際は有害物質が沢山溜まっていたり、PHが極端に低くなっていることで生体が体調を崩してしまっている場合もあります。
そのため、水替えを行う頻度や水量を週に何回と決めて行うだけではなく定期的に水質検査を行い、常に生体にとって適切な水質であるかをチェックしておくことをオススメします。