エイと言えば海に生息しているという認識の方が多いと思います。
日本には淡水に生息エイはいませんが、海外には淡水に生息する淡水エイが何種類か存在していて、その中でも「モトロ」はもっともメジャーな品種です。
この記事ではモトロの特徴や値段、モトロの飼育方法をご紹介します。
モトロの特徴
モトロは最大全長約1m、体盤長約50cm、体重15kg程に成長する大型の淡水エイで、モトロには複数の品種が存在していて、モトロの特徴でもある体の模様のバリエーションは豊富で個体や産地によって大きく変わります。
寿命は10年程と言われていて、日本で販売されている淡水エイの中で最もメジャーなモトロはコロンビアが産地のコロンビアモトロという品種になります。
どの品種のモトロも、一般的なエイと同じく毒針をもっているので飼育する際は注意が必要で、安全面の為に毒針をカットしたりチューブを被せるなどの対応をするケースもありますが、エイの毒針は定期的に抜けて新しい物に変わるので一時的な効果しか望めません。
また、モトロは水質の変化にとても敏感な生き物で、異なる水質の水槽に入れる時には水合わせが必ず必要です。
水合わせには最低でも1.2時間程かかり、半日以上の時間をかけて水合わせを行うケースもあります。
エイの体の外周付近は体盤(たいばん)にあたり、エイの大きさを表す用語として、縦の長さ(吻端から胸鰭の末端までの長さ)は「体盤長(たいばんちょう)」、横幅(両胸鰭間の最大幅)は「体盤幅(たいばんふく)」で表される
モトロの値段
淡水エイの中でモトロはもっともポピュラーで淡水エイの入門種としても知られていて、ショップで購入する際は平均15000-40000円程の値段で入手することができます。
モトロの値段は主に体の模様で決まり、モトロを含む淡水エイの模様は両親から遺伝する確率が非常に高く、血統が良い(模様が綺麗)個体ほど高額な値段で取引されます。
モトロの飼育方法
モトロの飼育に必要な物
- 水槽
- フィルター
- ライト
- ヒーター
- カルキ抜き
- PH試験紙
- 餌(エサ)
必要に応じて用意する物
- 底砂
- 水草
水槽の大きさ
モトロを飼育するのに必要な水槽の大きさは最低でも120x60x45cm以上の水槽が必要です。できれば、150x60x60cm以上の水槽で飼育してあげましょう。(奥行き90cm以上あると尚良い)
モトロに限らず淡水エイを飼育する場合は、スペースの問題で水槽自体の大きさが必要になるのは勿論ですが、大きい水槽ほど水質が変化しなくて安定しやすいので初心者の方ほど大きな水槽を推奨します。
濾過器(フィルター)
モトロは水質の悪化にとても敏感な生き物なので、ろ過能力が非常に高いオーバーフロー式が好ましいですが、スペース的に困難な場合は、外部式フィルターを複数設置する、又は上部式フィルター+外部式フィルターを設置しましょう。
オーバーフロー式はヒーターを水槽ではなく濾過槽に入れることができるので、安全対策でも優れていて本当にオススメで、ブリーダーや愛好家の殆どはこのオーバーフロー式を使っています。
ヒーター
水槽のサイズにあったワット数以上のヒーターを用意しましょう。
ヒーターを選ぶ際に注意することが1つあって、それはヒーターカバーが必ずついていることで、モトロは何かに覆いかぶさることを頻繁にするのでヒーターが剝き出しだと火傷を負ってしまい、場合によってはそのまま死んでしまうので注意が必要です。
できれば温度が固定されているものでなく、サーモスタットがついていて温度調節ができるヒーターがオススメです。
水合わせ
水槽の準備が完了したら次にモトロ飼育の一番の山場の水合わせです。
この水合わせが失敗するとモトロの皮膚が捲れてしまったり、最悪の場合死んでしまうので最も注意が必要な場面です。
水合わせの方法は点滴法で行います。
点滴法
点滴法とは、サイフォンの原理を使ってエアチューブで水を移す方法です
点滴法に必要な物は、
- エアーチューブ
- 一方コック
- エアレーション
- スポイト(無くても可)
の4点が必要になります。
点滴法のやり方は、
まずは、発泡スチロールやバケツ等の入れ物にモトロを袋ごと移して水槽より低い位置に置きます。
次に、エアーチューブを水槽からその入れ物に繋がるように配置します。
モトロが入っている入れ物側のエアチューブをスポイト又は口で吸いこみます。
そうするとサイフォンの原理で水が流れてくるので一方コックでエアチューブから出る水の量を調節します。
この時に水の出る量の目安は最初は1秒に1摘落ちる位で、時間が経つにつれてドンドン量を増やしていきましょう。
モトロが入っているケースに水がある程度溜まってきたら溢れないように水を捨てましょう。※この時に捨てる水は排水溝ではなく、これからモトロを入れる水槽に捨てましょう。
この点滴法は最低1-2時間程かけて行うようにし、モトロの入っているケースの水を捨てていくのを繰り返していくと段々と水槽の中の水と同じ水質に近づいて行きます。
点滴法で水合わせがある程度終わったら、水槽にゆっくりとモトロをいれて水合わせは終了です。
水質管理
モトロの適正水温は25-28℃、PH6.2~7.2を保つようにしてください。
PHが5を下回ったり大きく水質が傾くと、モトロは体調を崩して体の皮が剥けるなどの異常が出てくるので、定期的に水質を測定して対応してください。
また、薬品を使うことでPHを簡単に変えることができますが、モトロは薬品に対してとても弱い生き物なのでオススメできます。
また、斑点病などの病気をした際も一緒で、治療に使う薬品は使わないで薬品の代わりに塩を使い塩浴させてあげましょう。
どうしても治らない場合は薬品に頼る必要がありますが、なるべく避けた方が良いです。
PH試験紙
使い捨てのPH試験紙やPH測定器は水質管理の際に必ず必要になります。
PH測定器は半永久的に使うことができますが測定機能が故障してしまっても、極端に測定結果が変わっていない場合は、故障に気づくことが難しいので使い捨てのPH試験紙をオススメします。
餌(エサ)
餌はカーニバルなどの浮遊性の人工飼料は食べにくいので、キャットなどの底に沈む沈降性の人工飼料をメインに与えましょう。
金魚など動き回る生き餌は捕食が下手な個体の場合、食べられなかったり食べるのに時間がかかってしまいます。そのような個体の場合は食べやすいように生き餌を〆てから与えましょう。
〆る時には小さなハサミが役に立ち、やり方は金魚の頭部からエラまでを切るだけです。この時に頭は落とさないようにしてくださいね。(頭だけを入れてもモトロが餌だと認識してくれない場合がある)
個体によって餌の好き嫌いが分かれるので購入する際には、何を餌として与えていたか聞いておくことをオススメします。
混泳はできる?
底層を泳がない魚ならモトロとの混泳は可能です。
モトロ自体はとても大人しい性格なので、問題を起こすのは殆どの場合混泳させる魚になります。
ポリプテルスなどの水槽の底を泳ぐ魚とは相性が悪い為、中層-上層を泳ぐシルバーアロワナやアジアアロワナ等がオススメです。
終わりに
モトロは淡水エイの中ではポピュラーで飼育難易度も低いと言われていますが、他の熱帯魚と比べたらとても飼育難易度が高い魚で、水合わせにこれほどの時間がかかり、水質に敏感な種類の魚はエイ以外ほとんどいないのです。
また、値段が安いと言っても飼育にかかる設備を揃えるには結構なお金が必要になるので飼育は計画的にしてくださいね。