熱帯魚
ダトニオイデス・ダトニオイデス、通称「ダトニオ」という魚をご存知でしょうか?
ダトニオは虎のような美しいバンド模様を持っています。このバンド模様は主に個体が持つ遺伝子構造によって決定されますが、飼育する環境によっても大きく変化します。
この記事では、ダトニオの寿命や種類等、ダトニオの飼育に関する情報をご紹介します。
ダトニオってどんな魚?
ダトニオの大きさ |
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30-60cm |
特徴
ダトニオは虎のような黄色と黒色のバンド模様が特徴的です。
ダトニオは体の成長速度が非常に遅いことでも有名な魚であり、比較的成長速度の速いダトニオの稚魚(約6cm)が1年の長い期間をかけて、やっと15-20cm程の大きさになります。
別名「ダトニオイデス・ダトニオイデス」や「タイガーフィッシュ」ともいいます。
ダトニオの寿命
ダトニオの寿命 |
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10-15年 |
ダトニオは約10-15年程で寿命を迎えてしまう個体が多い傾向にあります。
適した環境で飼育することで個体によっては20年以上の寿命を持つこともあります。ダトニオは他の肉食魚と比べると少し神経質でデリケートなため、環境が寿命に大きな影響を与えます。
ダトニオの値段
ダトニオの値段 |
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500-500,000円 |
ダトニオの値段は、種類や個体によって大きな差があります。
流通量が多い「ダトニオプラスワン」の稚魚は500-1000円程で購入することができますが、流通量が少なく希少性の高い「シャムタイガー」の値段は最低10.000円以上と高額になります。
また、ダトニオは成長速度が極端に遅いため、ダトニオの大きさに伴って値段も変動します。
特に希少性の高く人気の高いシャムタイガーは、大型(全長50cm以上)に成長した個体が何十万円、時と場合によっては何百万円という破格な値段で取引されることもあります。
個体による値段差
- 発色が良い(体色が黄色い)
- バンド模様が途中で途切れていない
- バンド模様がハッキリとしている
- バンド模様が左右対称
- バンド模様が濃い
ダトニオ最大の特徴でもあるバンド模様や体色は、個体によって異なるため値段に差が生まれます。
バンド模様が途中で途切れることなく入っている個体は「パーフェクトバンド」といい、バンド模様が左右対称の個体は「リアルバンド」といいます。これらのバンド模様は特に人気が高いです。
購入する時にチェックすること
- 体が大きい
- 太っている
- 発色が良い
- バンド模様が綺麗
ダトニオは個体によってバンド模様に差があるため、ペットショップでダトニオの稚魚を購入する際は必ず店員さんに掬ってもらう個体を指定するようにしてください。
痩せていたり元気のない個体を選ばないようにするのは大前提として、ダトニオを選ぶ上で最も重要なのは、ダトニオ最大の特徴であり魅力でもあるバンド模様と体色です。
ダトニオが稚魚から成魚に成長する段階でバンド模様や体色が変わってしまうこともありますが、バンド模様が美しい稚魚は成魚になっても美しいバンド模様が出やすい傾向にあります。
ダトニオの種類
メコン・タイガー(フォーバー・タイガー)
メコン・タイガーの特徴
- ダトニオの最小種
メコン・タイガーはダトニオの中で最も小さい最小種のダトニオです。飼育下では全長25cm程で成長が止まる傾向にあるため、条件が整えば60cm水槽でも飼育することができます。
メコン・タイガーは他種のダトニオと比べ、体が黒ずむ“黒化”が起こりにくい傾向にあります。
また、別名「フォーバー・タイガー」ともいいます。
メニーバー・タイガー(シックスバンドタイガー)
メニーバー・タイガー
- 銀色の体色
- バンドの間に入る破線状の模様
メニ―バー・タイガーは、他種のダトニオとは違って珍しい銀色の体色を持っています。
メニ―バー・タイガーは淡水と汽水の両方に適応することができるため、異なる水質から移動させる場合は水合わせを長期的に行う必要があります。
また、別名「シックスバーナンダス」ともいいます。
ボルネオ・タイガー(ダトニオ・プラスワン)
ポルネオ・タイガー
- 7本のバンド模様
ボルネオ・タイガーは、日本で流通してるダトニオの中でもっともメジャーなダトニオです。
ダトニオのバンド模様は通常六本入っていますが、ボルネオ・タイガーのバンド模様は七本あり、通常よりも一本多いことから「ダトニオ・プラスワン」という別の名称があります。
また、別名「スマトラ・タイガー」や「ダトニオイデス・ミクロレンピス」ともいいます。
ニューギニア・ダトニオ(ニューギニア・タイガー)
二―ギニア・ダトニオの特徴
- 黒い斑点模様
- 汽水に順応できる
ニューギニア・ダトニオは、他の種類のダトニオよりも黒いバンド模様占める割合が多いです。
ニューギニア・ダトニオは、メニ―バー・タイガー同様に淡水と汽水の両方に順応することができるため、異なる水質から移動する際は水合わせを長期的に行う必要があります。
また、別名「ニューギニア・タイガー」ともいいます。
シャム・タイガー(カンボジア・タイガー)
シャム・タイガーの特徴
- ダトニオの最大種
シャム・タイガーの最大全長は約60cmと、ダトニオの中で最も大型に成長するダトニオです。
シャム・タイガーは大型に成長することから特に人気があり”ダトニオの王様”と比喩されます。バンド模様が美しく、特に大型化個体には30万円以上の値が付くことも少なくありません。
また、別名「本ダトニオ」ともいいます。
ダトニオの飼い方と注意点
- 水槽
- フィルター(濾過器)
- ライト
- ヒーター
- カルキ抜き
飼育に必要な水槽の大きさ
ダトニオの飼育に必要な水槽はダトニオの種類によって変わります。ダトニオは成長速度が非常に遅いので稚魚、幼魚から飼育する場合は、60cm規格水槽でも長期的に飼育することができます。
【種類別】ダトニオの飼育に必要な水槽サイズ | |
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メコン・タイガー | 60cmワイド水槽 |
メニーバー・タイガー | |
ボルネオ・タイガー | 90cm規格水槽 |
ニューギニア・ダトニオ | |
シャム・タイガー | 150x60x60cm |
フィルター(濾過器)
ダトニオを単独飼育する場合は「上部式フィルター」がオススメです。
複数飼育や混泳を考えている場合は上部式フィルターだけでは濾過不足になってしまうため「外部式フィルター」の使用をオススメします。外部式フィルターを使用できない環境である場合は、投げ込み式フィルターやスポンジフィルター等のサブフィルターを追加してください。
水温・水質管理
ダトニオに適した水質
- 水温 26-28℃
- PH 6.5-7.5
水質はダトニオに適した水温26-28℃、PH6.5-7.5を保ちましょう。
ダトニオは水温が高いと活性と代謝があがります。活性と代謝があがるとエサをよく食べるようになり成長する速度が速まるため、成長速度を速めたい場合は高めの水温で飼育しましょう。
しかし、水温が30℃を超えるような高水温で飼育する場合は注意が必要です。水温が高すぎると水中の酸素濃度が下がり酸欠を起こしやすくなるため、エアレーションを追加する必要があります。
エサは何をあげる?
ダトニオの主食は「人工飼料」を与え、副食は「金魚」や「ヌマエビ」等の生き餌を与えましょう。
ダトニオは生き餌が大好物であり、人工飼料はエサとも認識しない個体が多い傾向にあるため、ダトニオは“熱帯魚の中で最も人工飼料に餌付けすることが難しい”といっても過言ではありません。
しかし、人工飼料を食べることなく成魚になったダトニオを人工飼料を餌付けすることは限りなく不可能に近いため、ダトニオが稚魚のうちから人工飼料に慣れさせておく必要があります。
クリルから餌付けする
ダトニオは人工飼料をエサと認識することがないため、最初はクリル(乾燥エビ)に餌付けすることを目標としましょう。偏食が激しいダトニオでもクリルだけは食べることが多く、クリルを食べるようになったらクリルと一緒に人工飼料を与えることで人工飼料も食べてくれるようになります。
また、クリルにはダトニオの発色を良くさせる効果もあるため、常用したいエサの一つです。
混泳はできる?
- 混泳魚に釣られて餌付けしやすくなる
ダトニオが他の混泳魚に攻撃を仕掛けることは殆ど無いため、簡単に混泳させることができます。
しかし、ダトニオは神経質で臆病な性格をしているので単独飼育をオススメしたいところですが、ダトニオと同じ水槽に他の魚を混泳させるメリットがひとつあります。
それは、人工飼料に一切興味を持たないダトニオが、混泳魚が人工飼料を食べている姿を見たことで人工飼料をエサであると認識し、ダトニオも人工飼料を食べるようになることもあります。
オススメの混泳魚
ダトニオに混泳させる魚は、同種のダトニオや「ポリプテルス」がオススメです。
ポリプテルスは大人しい個体が多く遊泳層も異なっているため、ダトニオと非常に相性が良いです。
混泳が失敗した時のために
肉食魚の混泳に100%成功はありません。温厚で攻撃性の無い肉食魚同士を混泳させた場合でも、その中で強弱が生まれてしまい、喧嘩やいじめが発生してしまう可能性があります。
そのため、混泳が上手くいかなかった時に隔離用の水槽やセパレートを用意しておきましょう。
ダトニオ飼育【まとめ】
全長 | 30-60cm |
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寿命 | 10-15年 |
水温/PH | 26-28℃/6.5-7.5 |
遊泳層 | 中層 |
飼育難易度 | ★★★★★ |
繁殖難易度 | ★★★★★ |
混泳難易度 | ★★★★★ |
ダトニオは飼育環境やその時の心理状態によって体の発色を変化させます。ダトニオに適さない環境で飼育し続けていると、体が黒ずむ“黒化”を起こしてしまうこともあります。
ダトニオを飼育(生かす)ことは簡単ですが、ダトニオの持つ美しさを最大限引き出しながら飼育するにはダトニオに適した飼育環境を保つ必要があるため、初心者の方には少し難しいかもしれません。