頬に入ったオカメのようなチーク模様が特徴的な「オカメインコ」という鳥をご存知でしょうか。
オカメインコはとても人懐っこいことから鳥の中でも特に人気がある品種であり、鳥の中でも知能も高い部類に分類されるため、”芸を仕込んだり言葉を覚えさせる”こともできるようになります。
この記事では、オカメインコの寿命や種類等、オカメインコの飼育に関する情報をご紹介します。
オカメインコってどんな鳥?
オカメインコの大きさ |
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30-35cm |
特徴
オカメインコは”ライオンのような鬣と頬に入ったオレンジ色のチーク模様”が特徴的です。
オカメインコは名前に「インコ」と入っていますが、実はインコの仲間ではなくオウムの仲間であり、オカメインコはオウム科に属する中で最もサイズが小さいオウムの最小種でもあります。
世界中で人気があるオカメインコは品種改良が盛んに行われているため、原種に最も近い品種である「ノーマルオカメインコ」の他にも沢山の種類(羽色)が存在します。
性格
- 温厚で大人しい
- 甘えん坊で懐きやすい
- 臆病で神経質
オカメインコは”頭が良くて温厚な性格”をしているため、簡単な言葉ならば喋れるように躾けることも可能であり、飼い主にベッタリと甘えてくるようなことも珍しくはありません。
また、オカメインコは知能が高い故に”臆病で神経質な性格”の個体が多い傾向にあり、突然パニック(オカメパニック)を起こしてしまうことがあるため、扱い方には十分に注意する必要があります。
性別による性格差
オカメインコはオスとメスで性格が全く異なります。オスは活発的でよく喋る個体が多い傾向にありますが、メスは穏やかでマイペースな個体が多い傾向にあります。
テレビやYoutube等の動画で見かけることのある”お喋りなオカメインコは殆どがオス個体”であるため、オカメインコに言葉を覚えさせたい場合はオス個体を選ぶと良いでしょう。
オカメインコの寿命
オカメインコの寿命 |
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15-30年 |
オカメインコの寿命は最低でも15年以上生きることができます。オカメインコは適した環境で飼育することで犬や猫以上に長生きすることができ、中には30年以上生きた個体も確認されています。
オカメインコの中には遺伝子に疾患を抱えており寿命が短い個体も当然存在しますが、オカメインコが短命になってしまう”主な原因は病気や怪我”である場合が殆どであるため、より長生きしてもらうためには、病気や怪我をすることの無い環境で飼育することが何よりも大切になります。
オカメインコの値段
オカメインコの値段 |
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13,000-50,000円 |
オカメインコの値段は、購入するペットショップや種類によって大きな差があります。
オカメインコの原種である「ノーマル」は約13,000-15,000円程で購入することができますが、希少性の高い「イエロー」や「オリーブ」等は2-5万円とノーマルの数倍の値段で販売されています。
また、ペットショップによってはノーマルのオカメインコが一万円以下で販売されていることもありますが、ストレスが溜まる環境で飼育されていたり血統に問題がある可能性が高いです。
値段の安さには必ず理由があるため、あまりにも値段が安いオカメインコを購入する際は必ず店員さんが”オカメインコをどのように扱っているのか”注意深く観察するようにしてください。
オカメインコの種類(色変わり)
ノーマル
- 灰色の羽色
- オレンジ色のチーク
ノーマルは灰色の羽根と黄色の顔周り、オレンジ色のチーク模様が特徴的です。
ノーマルはオカメインコの原種に最も近い品種であり、オカメインコが持つ特徴的なオレンジ色のチーク模様は、メス個体よりもオス個体の方が広範囲で濃い色になる傾向にあります。
別名「並オカメインコ」ともいいます。
シナモン
- 薄灰色の羽色
- オレンジ色のチーク
シナモンはノーマルと外見が非常に似ていますが”シナモンは異なるメラニン色素”を持っています。
オカメインコの原種であるノーマルは黒色の色素を持っていますが、シナモンは黒色の色素が茶色に変化した品種であるため、ノーマルよりも透き通った灰色の羽色になっているのです。
羽色の濃さは個体によって若干の差があり、中にはノーマルに近い色を持った個体も存在します。
ファロー
- 薄黄色の羽色
- 黄色のチーク
- 赤みがかった眼球
ファローは”ノーマルよりも薄いメラニン色素”を持っているため、羽色が薄黄色に変化しています。
メラニン色素の濃さが齎す影響は、羽色が変化するだけではなくチークや眼球の色も全く変わった色に変化するため、ファローの中には若干の赤みを帯びた眼球を持っている個体も存在します。
ルチノー
- クリーム色の羽色
- オレンジ色のチーク
- 赤みがかった眼球
ルチノーはオカメインコの中で特に人気のある品種であり、代表的な種類の一つです。
ルチノーは”オカメインコの原種が持つ黒色の色素が欠落”しているため、顔周りは黄色、胴体はクリームのような薄黄色の羽色をしており、アルビノのような赤みを帯びた眼球を持っています。
また、ルチノーは遺伝子の構造上生まれてくる子供の殆どがメス個体であるため、希少性の高く珍しいオス個体のルチノーがペットショップに流通することは殆どありません。
イエロー
- 黄色の羽色
- オレンジ色のチーク
- 赤みがかった眼球
イエローはルチノーと同一の種類であり、羽色に黄色が強く出ている個体を分類したものです。
イエローは品種改良が繰り返されたことによって、アルビノが“紫外線に対して弱い”のと同様に遺伝子レベルで原種であるノーマルよりも寿命が短くなってしまう傾向にあります。
別名「ゴールデン」や「バターカップ」ともいいます。
スノーホワイト
- 白色の羽色
- チークが無い
スノーホワイトは、オカメインコ最大の特徴であるチークを含めて全身が白色になっています。
スノーホワイトと同じ白色の羽根を持ったオカメインコは他にも1品種存在します。その品種は「アルビノ」という名称で流通していますが、眼球の色が異なっているため全くの別種です。
アルビノ
- 白色の羽色
- チークが無い
- 赤色の眼球
アルビノは「ルチノー」や「ファロー」のようにメラニン色素が変化(薄い)したのではなく”メラニン色素が完全に欠落”しているため、羽色は完全な白色となり眼球は赤色に染まっています。
アルビノはメラニン色素を生成することができないという性質上視力が若干弱くなっており、紫外線(日光)が原因となる病気に罹りやすい傾向にあります。
以上のように、アルビノは他の種類のオカメインコより体が弱い傾向にありますが、部屋に入る紫外線を防いだ適切な環境で飼育することで、他の品種と同じように長生きさせることができます。
シルバー
- 灰色の羽色
- チークが無い
シルバーは、スノーホワイトと同様にオカメインコ最大の特徴である頬のチークが存在しません。
シルバーはオカメインコの中でも特に個体によって”羽色の割合に差がある品種”であり、羽色の配色バランスが1:1の割合の個体をはじめ、羽色の配色バランスが1:9や9:1の個体も存在します。
パイド
- 斑模様
- バリエーション豊富
パイドの特徴的な斑模様は、個体によって位置や大きさが全く異なります。同じ斑模様を持ったパイドは殆ど存在しないため、全てのパイドが“自分だけのオリジナルな模様”を持っているのです。
また、パイドは斑模様の比率によって「ライトパイド」「ミディアムパイド」「ヘビーパイド」「クリアパイド」と更に分類され、羽色によっても名称が変わります。
パール
- 水玉模様
- バリエーション豊富
パールはメラニン色素の一部が欠落しているため、羽根に水玉のような模様が出ています。
パールはアルビノのように全てのメラニン色素が欠落している訳ではなく、羽根一枚単位で”部分的にメラニン色素が欠落”しているため、パイドのように個体によって様々な模様を持っています。
また、パールは性別によって体に入る模様の量が変化します。メス個体は体に多くの模様が入る傾向にありますが、オス個体は体の模様が少ない傾向にあるため模様が全く無い個体も存在します。
オリーブ
- 淡いオリーブ色の羽色
オリーブはオカメインコとしては珍しい緑色に近いオリーブ色の羽色が特徴的です。
緑色に近い羽色を持ったオカメインコが何故珍しいのかというと、オカメインコは本来青色の色素を持っていないため、緑色に近い羽色になることはあり得ないのです。
しかし、極稀にオカメインコが本来持たないメラニン色素を持って生まれてくる個体(突然変異)が存在します。この突然変異した”薄緑色の羽色を持った個体を固定化”したのがオリーブなのです。
オカメインコの飼い方と注意点
飼育に必要な飼育用品
- ケージ(鳥かご)
- パーチ(止まり木)
- エサ入れ・水入れ
- ペットヒーター
- 水浴び用ケース
- 温湿度計
- キャリーケージ
オカメインコの飼育に必須な飼育用品は「ケージ」「パーチ」「食器」「ヒーター」の4つです。
その他の飼育用品に関しては必要に応じて用意するという認識で問題ありませんが、キャリーケージは動物病院へ連れて行く必要がある時に無いと不便なため、是非用意しておきたいところです。
エサは何をあげる?
オカメインコの主食は「シード」や「ペレット」を与え、副食には野菜や果物を与えましょう。
ひとつ注意しなくてはならないのが、野菜の中にはオカメインコに悪影響を与える物もあるため、初めて与える食べ物は、必ず事前に”オカメインコに与えても安全か調べる”ようにしてください。
絶対に与えてはいけない食べ物
- アボカド
- チョコレート
- コーヒー豆
- 玉ねぎ
- ネギ
- ニラ
- ニンニク
- アルコール
特にアボカドやチョコレートは危険性が高く、極少量摂取しただけでも「呼吸困難」や「食欲不振」を引き起こす可能性が高いので、何があっても絶対に与えてはいけません。
また、オカメインコは食べたら危険な食べ物を自分で判断することができないため、オカメインコをケージの外に出している時に誤って食べてしまうことも考えられるので十分に注意しましょう。
温度・室温管理
- 約20-28℃
オカメインコは気温が高く空気が乾燥している地域に生息しているため、気温が低く湿度が高い日本はオカメインコにとってはとても住みずらい環境なのです。
そのため、冬場はヒーターを使って”オカメインコが快適に過ごる室温を保つ”必要があります。
室温が15℃を下回るような場所でなければ、ヒーターを使用せずにオカメインコを飼育することもできますが、出来る限り“オカメインコが生息する地域に近づけた環境”を用意してあげましょう。
ケージの設置場所
ケージの設置場所によってケージ内の室温に差が生じるため、適切な場所を選ぶ必要があります。
特に”直射日光が当たる場所やエアコンの風が直接当たる場所”は、一日を通して室温の変化が激しいため、オカメインコが体調を崩してしまう原因となってしまいます。
また、人が頻繁に出入りする扉や大きな物音が鳴るような場所は“オカメインコがオカメパニックを起こす原因”となるため、特に注意してください(オカメパニックについては後程紹介します)。
ケージの保温性を高める
冬場は気温が低下しやすいため、ケージにビニール袋や毛布を被せて保温性を高めましょう。
ケージの保温性を高めることでヒーターの稼働時間を少なくすることができるため、電気代の節約にもなりますし、オカメインコにとっても”快適な温度変化の少ない環境”を作ることができます。
ケージの掃除
オカメインコはエサを食べる量も排泄物の量も多いため、ケージはコマメに掃除してください。
特にパーチ(止まり木)に付着した排泄物を放置してしまうと”排泄物から細菌が繁殖し病気の原因”となってしまうため、常にケージ内が衛生的な環境となるように心がけましょう。
糞受けを掃除する頻度
糞受けは”毎日掃除することが理想”です。糞受けの掃除は、新聞紙を取り換えるという簡単な作業だけですので、どんなに忙しい場合でも2-3日に1回は掃除するようにしてください。
一週間以上掃除をサボってしまうと悪臭が発生するようになってしまいますし、何よりも不衛生な環境で飼育し続けているとオカメインコが病気に罹ってしまうので注意しましょう。
鳴き声・防音対策
オカメインコは社会性が高く集団で行動(生活)しているため、オカメインコが仲間の群れから外れて孤立してしまうと“鳴き声をあげて仲間を探す習性(呼び鳴き)”があります。
呼び鳴きをする習性は今も残っており、飼い主や一緒に暮らしている仲間がいなくなると大きな声で呼び鳴きをすることがあるため、近隣の迷惑にならないようにキチン防音対策をしましょう。
鳴き癖・噛み癖
オカメインコは何か要求がある時には鳴くことがあります。この時に要求を叶えてしまうと“鳴く(噛む)ことで自分の要求が通る”と覚えてしまい、鳴き癖や噛み癖がついてしまいます。
そのため、オカメインコが無駄に鳴いて何かを要求するようなことがあれば放置し、鳴かないようになったら要求に答えてあげることで“静かにしたら要求が通る”と覚えさせることができます。
オカメインコは「コザクラインコ」や「ボタンインコ」と比べると噛み癖は付きにくい傾向にありますが、鳴き癖が付きやすい傾向にあるためキチンと躾けるようにしてください。
定期的に日光浴をさせる
オカメインコは日光浴をすることで体内で「ビタミンD3」を作り出すことができます。
ビタミンD3には”摂取したカルシウムを体内に吸収しやすくする効果”があるため、オカメインコに日光浴をさせることでカルシウム不足に伴う病気を未然に防ぐことができます。
日光浴をさせる頻度と注意点
オカメインコに日光浴をさせる頻度は、1-3日に1回を目安にしてください。
気温が高い真夏日に日光浴をさせると熱中症になってしまう可能性があるため、オカメインコが自由に涼めるように必ずケージ内に”日陰を作って熱中症を予防”しましょう。
定期的に水浴びをさせる
オカメインコは水浴びをする習性があるため、定期的に水浴びをさせる時間を作りましょう。
水浴びは体の汚れを落とし清潔を保つために必要となる行為ですが、その他にも水浴びを遊びとして行うことで、オカメインコに溜まった”ストレスを発散しリラックスする効果”も期待できます。
水浴びをさせる頻度
オカメインコに水浴びをさせる頻度に特に決まりはないため、1週間に1回を目安としてください。
オカメインコの中には水浴びが嫌いな変わった個体もいます。水浴びは体の清潔を保つためにも出来る限り行いたいですが、そういった個体に無理やり水浴びをさせるといった必要はありません。
定期的に放鳥する
オカメインコを小屋のような場所で飼育している場合は部屋で放鳥する必要はありませんが、一般的なケージで飼育している場合は、自由に運動できるように定期的に放鳥させましょう。
オカメインコが運動不足になってしまうと”肥満や病気の原因”になりますし、運動不足に伴うストレスから体調を崩してしまうこともあるため、出来る限り毎日放鳥してあげるといいでしょう。
放鳥する頻度と注意点
オカメインコを放鳥する時間は、1日15-60分を目安に行ってください。
そして、オカメインコを放鳥する時に必ずチェックしなくてはならないのが“戸締りの確認”です。
放鳥中はオカメインコをロスト(迷子)してしまう危険性が最も高い時間帯であり、ロストしてしまったオカメインコが自宅に戻ってくることは滅多にありませんので十分に注意してください
オカメパニックに注意
- 猛禽類や猫等の天敵を見た時
- いきなり人や物が現れた時
- 地震・その他驚くこと全般
オカメインコは臆病で神経質な性質故に、通称”オカメパニック”を引き起こすことがあります。
オカメパニックはオカメインコが驚いた際に発作的に起こしてしまうことが多く、オカメパニックを起こしてしまうとケージ内を暴れまわり、体中を傷つけてしまうことがあるので注意しましょう。
オカメインコ飼育【まとめ】
オカメインコは賢くてとても甘えん坊な性格をしている個体が多く、犬や猫と同じようにコミュニケーションを取る事もできるので、沢山触れ合ってお互いに信頼できる関係を築きましょう。
また、オウム仲間であるオカメインコは寿命がとても長く、人生の約4分の1の時間を共に過ごすことになるため、飼い主の都合を押し付ける無責任な飼育はしないように気を付けてくださいね。