フクロウ(ミミズク)の飼い方と注意点|特徴・寿命・種類・値段【まとめ】

近頃では猫と触れ合える猫カフェならぬ、フクロウと触れ合うことができる「フクロウカフェ」がオープンしたりとフクロウの人気は上昇傾向にあり、ペットとして飼育する人も増えてきています。

しかし、フクロウを見かける機会がいくら増えたとしてもフクロウが珍しい動物であり、飼育方法が確立されていないことに変わりは無いため、フクロウに合った環境を作り出す難しさがあります。

この記事では、フクロウの寿命や種類等、フクロウの飼育に関する情報をご紹介します。

フクロウってどんな鳥?

フクロウの大きさ
15-70cm

特徴

タカやハヤブサと同じ猛禽類であるフクロウは、獲物(小型哺乳類・鳥類・昆虫等)を狩るために鋭く尖った鉤爪とクチバシを持っており、眼球と首の骨がとても発達しています。

フクロウの発達した眼球は暗闇の中でも昼間と同じ視力を保つことができ、同時に発達した柔軟な首を使うことで特定の場所から一切動くことなく、全方向(360℃)を確認することができます。

また、フクロウは“夜から夜中にかけて活動する夜行性”というイメージが強いですが、フクロウの中には人間と同じように朝から昼にかけて活動し、夜に眠る昼行性のフクロウも存在します。

実際にはフクロウの首が360℃回転する訳ではありません。左方向と右方向に最大270℃まで回転させることができるため、360℃回転しているように見えるのです。

性格

フクロウの性格
  • 頭が良い
  • 好奇心旺盛
  • 警戒心が強い

フクロウは好奇心旺盛で頭が良く、自分が経験したことを雛の時期から記憶に残しています。

フクロウを雛から愛情を持って育てることで人間にもよく懐きますが、フクロウは頭が良い故に警戒心が強い動物でもあるため、知らない人間に対しては攻撃的な行動を取る事もあります。

生息地

フクロウは「中央アジア」と「東アジア」を中心としたアジア地域に幅広く生息しています。

フクロウはアジア以外の地域(環境)にも生息することができますが、フクロウは定住性がとても強く住処と決めた場所に留まり続けるため、海を越えて他の地域に移動することはありません。

日本にも生息する

海外諸国に生息するイメージの強いフクロウですが、日本でも「フクロウ(ウラルフクロウ」「エゾフクロウ」「キュウシュウフクロウ」「モミヤマフクロウ」の計4種類が確認されています。

日本のフクロウは主に四国や本州、北海道を中心に生息していますが、個体数が限りなく少ないため、街中でフクロウを見かける機会は殆どありません。

フクロウとミミズク

フクロウとミミズクの特徴
  • 「ミミズク」には羽角のある
  • 「フクロウ」には羽角がない

フクロウとミミズクは生物学的には違いはありませんが「羽角」の有り無しで名称が変わります。

しかし、羽角が付いているのにも関わらず名前に「フクロウ」と名前が付いているミミズクも存在するため、羽角だけでフクロウとミミズクを完全に区別することはできないのです。

羽角とは、一部鳥類の頭に付いている耳のような羽毛の束のことをいいます。

フクロウの寿命

フクロウの寿命
15-40年

フクロウの寿命は種類によって大きな差があります。

アカスズメフクロウのような小型種は約15-20年、ウサギフクロウのような中型種は約20-30年、シロフクロウのような大型種は30-40年が平均的な寿命になります。

元々フクロウの寿命は全体的にとても長いですが、フクロウに適した環境で愛情を持って育てることで大型フクロウの中には50年以上生きた個体も確認されています。

フクロウの寿命は種類だけでなく個体によっても差がありますが、食事と運動量を管理が行われている個体は長生きする傾向にあるため、フクロウの寿命は“環境によって大きく変化”するといえます。

フクロウの値段

フクロウの値段
100,000-1,000,000円

フクロウの値段は、購入するペットショップや種類によって大きな差があります。

フクロウの値段は基本的に小型種ほど安く大型種ほど高くなる傾向にあるため、小型種は比較的安価(約10-30万円)で購入することができますが、大型種は最低30万円~と値段が一気に上がります。

大型種の中でも比較的流通量の多い「シロフクロウ」は約30万円程で購入できますが、流通量が少ない「シベリアワシミミズク」や「アメリカワシミミズク」は約50-70万円と倍近い値段になります。

フクロウの種類

アカスズメフクロウ

アカスズメフクロウの特徴
  • 茶色と白色の羽色
  • 後頭部にある黒い目のような模様

アカスズメフクロウは朝から昼にかけて活動する昼行性であり、世界最小クラスのフクロウです。

アカスズメフクロウ全長は約16-20cmと他のフクロウよりもかなり身体が小さいですが、神経質で警戒心が強い性格をしているため、人間に懐きにくい個体が少し多い傾向にあります。

ヨーロッパコノハズク

ヨーロッパコノハズクの特徴
  • 茶色の羽色
  • 黄色の眼球
  • 木のような線の模様

ヨーロッパコノハズクの茶色い羽色は“木に擬態するための保護色”の役割を担っています。

ヨーロッパコノハズクはアカスズメフクロウと同様に世界最小クラスのフクロウであり、大人しく人懐っこい個体が多いため、フクロウの中でも特にペット向きなフクロウといっても良いでしょう。

コキンメフクロウ

コキンメフクロウの特徴
  • 茶色と白色の羽色
  • 薄黄色の眼球

コキンメフクロウは、夜行性と昼行性を兼ね備えた朝と夜両方に活動するフクロウです。

コキンメフクロウは元気で活発な個体が多いことからペットとして特に人気の高い品種ですが、神経質で警戒心が強い性格をした個体が多い傾向にあるため、徐々に信頼関係を築く必要があります。

アフリカオオコノハズク

アフリカオオコノハズクの特徴
  • 灰色と白色の羽色
  • オレンジ色の眼球

アフリカオオコノハズクは、時に身体を木のように細くして木に擬態する習性があります。擬態は主に天敵である動物を見つけたり「自分に危険が及ぶ可能性がある」と感じている時に行います。

アフリカオオコノハズクが擬態をしている時は強いストレスを感じている証拠であり、飼育下ではそのストレスが原因となって体調を崩してしまうこともあるため、飼育が少し難しい品種です。

ウサギフクロウ

ウサギフクロウの特徴
  • ライトブラウン色&白黒色の羽色
  • ウサギのような羽角

ウサギフクロウは、ヒョウ柄のような羽色とウサギのような長い羽角が特徴的です。

ウサギフクロウは崖や木の上ではなく地上の草の上に巣を作る習性があり、地上に作った自分の巣を守るためなのか、ウサギフクロウは神経質で攻撃的な個体が多い傾向にあります。

オナガフクロウ

オナガフクロウの特徴
  • 長い尻尾
  • 黄色い眼球
  • 頭部に入った白い斑点模様

オナガフクロウは、名前の由来になっている長い尻尾が特徴的な昼行性のフクロウです。

オナガフクロウはフクロウの中でも特にフライト(飛ぶこと)が得意な品種であるため、時にはフクロウを必要とするイベント(主にフライトイベント)で活躍したりと人気があります。

メンフクロウ

メンフクロウの特徴
  • お面のような顔
  • 茶色の羽根

メンフクロウは、まるでお面を被っているような個性的な顔付きが特徴的です。

メンフクロウは“顔盤がハートの形に見える可愛らしい顔”をしていることから人気がありますが、外見とは裏腹に野性味が強く、神経質でデリケートな性格をしている個体が多い傾向にあります。

メガネフクロウ

メガネフクロウの特徴&性格
  • 黄色い眼球
  • 白黒のツートンカラー

メガネフクロウは、眼鏡のように見える目の周りに生えた白色の羽毛が特徴的です。

メガネフクロウは他の種類のフクロウのように臆病で神経質な性格ではなく、ベッタリと甘えてくるような人懐っこい性格をした個体が多いことからフクロウの中でも特に人気があります。

シロフクロウ

シロフクロウの特徴
  • 白黒色の羽根と黄色い眼球
  • オスとメスで異なる羽模様

シロフクロウは映画「ハリーポッター」にも出演したことがある最も知名度が高いフクロウです。

シロフクロウは性別によって羽根の模様が大きく異なります。オス個体は全身が白色で黒色の斑模様が少しだけ入っているのに対し、メス個体は全身に黒色の斑模様が多く入っています。

アメリカワシミミズク

アメリカワシミミズクの特徴
  • 黒色&ライトブラウン色の羽根
  • オレンジ色の眼球

アメリカワシミミズクは北アメリカに生息する全鳥類の中で「最強の鳥」とされており、握力が強く狩りの能力も極めて高いため、実際に人間の子供を殺してしまったという記録も残っています。

しかし、アメリカワシミミズクは家族思いで愛情が強い一面も持っています。一度信頼した相手ならば、それが狩りの対象である動物であろうとも関係なく懐くこともあるのです。

フクロウの飼い方と注意点

飼育に必要な飼育用品

フクロウの飼育に必要な道具(飼育用品)
  • ケージ
  • パーチ(止まり木)
  • アンクレット
  • ジェス
  • リーシュ
  • 水浴び用容器
  • トイレシート
  • 爪切り
  • ファルコングローブ
  • キャリーバック

フクロウを飼育するには「アンクレット」「ジェス」「リーシュ」等、フクロウに取りつける専用器具やお手入れの際に使用する「爪切り」等の飼育用品が必要になります。

フクロウは「セキセイインコ」や「オカメインコ」等のペットとしてメジャーな鳥類と比べると、必要となる飼育用品が多く代用品が殆ど無いため、全ての飼育用品を買い揃える必要があります。

フクロウ(ミミズク)の飼育に必要な飼育用品【まとめ】
フクロウの飼育に必須な飼育用品(パーチ・アンクレット・ジェス・リーシュ・爪切り)や、あったら便利な飼育用品(体重計・水浴び用容器・トイレシート・ファルコングローブ・キャリーバッグ)について解説しています。

フクロウの飼育方法

フクロウの飼育方法
  • ケージ内飼育
  • 放し飼い
  • 係留飼育(けいりゅうしいく)

ケージ内飼育

ケージ内飼育はその名通りケージの中で飼育する方法であり、主に「ハムスター」や「インコ」等の小型動物を飼育する際によく利用されている方法です。

ケージ内飼育はフクロウを最も安全に飼育することができますが、ケージ内ではフクロウが自由に動くことができないため、係留飼育や放し飼いと比べるとストレスを感じやすいのが欠点です。

係留飼育

係留飼育は「ケージ内飼育」と「放し飼い」の中間に位置する飼育方法です。

係留飼育をするためには外飼いの犬が首輪を付けているように、フクロウの足にアンクレット」「ジェス」「リーシュ」という専用器具を取り付ける必要があります。

係留飼育はフクロウの飼育に最も多く採用されている飼育方法であり、放し飼いとまではいかないものの、フクロウが感じるストレスを最大限軽減することができます。

放し飼い

放し飼いは主に猫を飼育する際に多く利用されている飼育方法であり、部屋の中をフクロウが自由飛び回れるため、フクロウにストレスが溜まることなく伸び伸びと育つことができます。

しかし、フクロウを放し飼いにすると人間には都合の悪い以下のようなデメリットがあります。

放し飼いのデメリット
  • 誤飲や火傷など、事故の恐れがある
  • 部屋に落ちた排泄物の掃除が大変になる
  • 窓を開けた時にロスト(迷子)しやすい

放し飼いはフクロウを最もロストしやすい環境であるため、ロスト対策を必ず行う必要があります。

フクロウは訓練を積むことで飼い主の元へ戻ってくるように躾けることができますが、訓練されていないフクロウは、飼い主の元から飛び去ってしまった後に戻ってくることは殆どありません。

エサは何をあげる?

フクロウは猛禽類であるため「ヒヨコ」や「マウス」等の生餌を与える必要があります。

これらのエサは生きている状態が最も適していますが、生きている動物をエサとして与えることに抵抗がある場合は、冷凍処理が施されているエサを利用するといいでしょう。

また、冷凍された鮮度の低いエサは内臓を処理して与える必要があるため、こういった少しグロテスクな作業が苦手な方は少し割高になりますが、内臓処理済みの商品を購入しましょう。

フクロウは肉食性であり動物性のタンパク質を必要としているため、他の鳥類のエサとして多く使われているペレット等の配合飼料をエサにすることはできません。
フクロウ(ミミズク)のエサの種類と値段は?【冷凍エサの与え方】
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温度・室温管理

フクロウに適切な温度
  • 約15-27℃

フクロウの種類(生息地)によって適切な室温は変わりますが、全てのフクロウに共通していることは暑さに対して耐性がないことであるため、室温が30℃を超えないように室温を管理しましょう。

特に夏場は気温が上がりやすく熱中症に罹ってしまいやすいため、十分に注意する必要があります。

フクロウは寒さに強い

フクロウは暑さには弱いですが比較的寒さには強いため、室内でフクロウを飼育している場合は、基本的にエアコンやヒーターを使って加温する必要はありません(雛の場合は例外です)。

特に極寒地域(北極圏)に住む「シロフクロウ」は寒さにとても強く、氷点下50℃近くになるまで生存することができますが、逆に暑さには全く耐性がないので低室温を保たなければいけません。

温暖な地域に生息するフクロウであっても気温が氷点下を下回らない限りは、エアコンやヒーターを使って加温する必要はありません(フクロウが雛の場合は例外です)。

定期的に水浴びをさせる

フクロウには水浴びをする習性があるため、定期的に水浴びをさせる時間を作りましょう。

水浴びには体の汚れを落とし清潔に保つ効果に加え、水浴びをすることでストレスを発散しリラックスする効果もあるため、フクロウの健康を保つためにも欠かさず行うようにしてください。

水浴びの頻度と注意点

フクロウに水浴びをさせる頻度は、1週間に1-2回を目安にしてください。

水浴びの頻度は、主に季節(気温)によって回数を調節する必要があります。特に気温が高い夏場はフクロウの体温が上がりやすくなっているため、水浴びの頻度を増やすようにしましょう。

水浴びをさせる頻度に特に決まりはないため“個体に合った頻度”を探しましょう。

定期的に爪と嘴をカット

野生のフクロウは木々を渡り歩くうちに自然と爪を削っていますが、飼育下のフクロウは行動が制限されており爪が自然と削れることもないため、定期的に爪をカットしてあげる必要があります。

フクロウの爪を放置していると“伸びすぎた爪が足の裏に食い込む”こともあるので注意しましょう。

フクロウの爪が伸びすぎているとフクロウ自身にも悪影響を及ぼしますし、我々人間にとっても非常に危険なので、最低でも2ヵ月に1回、できれば1ヵ月に1回は爪をカットをしてあげましょう。

爪と同様に嘴(クチバシ)も定期的にカットしましょう。嘴が伸びすぎると噛み合わせが悪くなりエサを食べずらくなるだけでなく“不正咬合”になる可能性もあります。

誤飲や事故に注意

フクロウとコミュニケーションを取る時に玩具を使うことがありますが、フクロウが玩具を誤飲してしまうこともあるため、玩具を使う時は“必ず飼い主の目が届く位置”で遊ばせてください。

フクロウが消化することもできない異物を飲み込んでしまった場合は、早急に適切な措置を取らなければ中毒症状腸閉塞を起こす危険性があります。

誤飲の他にも感電や火傷等、フクロウを部屋で自由に行動させると様々な事故が起こりえるため、フクロウに危険が及ぶ可能性がある物は、出来る限り片付けておく習慣をつけることが大切です。

ロスト(迷子)に注意

フクロウを飼育する上で“ロスト対策は必須”であり、最も注意しなくていけないことになります。

フクロウは、タカやハヤブサと同じように訓練することでフライトの後に飼い主の元に戻ってくるように調教することができますが、訓練されていないフクロウは飼い主の元に戻ってきません。

ペットとして飼育されてきたフクロウは自分でエサを確保する方法を知らず、野生で生き残ることができないため、一度ロストしてしまうと保護されない限りは死んでしまう可能性が高いのです。

現に街中でペットのフクロウが発見され、テレビニュースとして大きく報道されたこともあります。

特に放し飼いは係留飼育と比べるとロストしやすいので、十分に注意してください。

フクロウ飼育【まとめ】

フクロウの飼育者は年々増加傾向にありますが、フクロウが珍しい動物ということに変わりは無いため、生体代は高く付きますし飼育するための環境を整えるにも多大なコストが掛かります。

また、フクロウは全ての動物病院で診察が可能な訳ではありません。フクロウが怪我や病気になった際にも適切な対応ができるように事前に診察可能な動物病院を調べておくことも大切になります。

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